Policy KIYOHIRO ARAKI
政策 update
1999/7/23 第18号
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聴覚障害者の社会参加を制限している欠格条項の見直しの推進等に関する質問主意書 平成11年7月21日 |
1981年(昭和56年)の国際障害者年は「完全参加と平等」をテーマに掲げ、国際的にも国内的にも、障害者に対する差別を無くし、社会的理解を広げるために大きな力となった。殊に聴覚障害者に対する社会的認識は急速に変化してきており、その社会参加は目覚ましい進展を見せている。しかし、様々な資格が要求される現代の「資格社会」では、まだまだ厚い壁が立ちはだかっており、その最たるものが欠格条項の存在である。欠格条項には身体障害者を絶対的欠格事由としている場合と相対的欠格事由としている場合とがあるが、聴覚障害者を絶対的欠格事由としている資格に限って私が調べたところでは、現在、17もの法律等においてそれが存在していた。すなわち、 一 障害者に係る欠格条項の見直しについての検討状況等について 1 総理府内閣総理大臣官房内政審議室に設けられている障害者施策推進本部担当室が平成9年9月24日に各省庁に対し照会を発出し、平成10年3月25日に「障害者に係る欠格条項一覧」を作成したが、この調査の趣旨を示されたい。 2 右の調査後、内閣総理大臣を本部長とする障害者対策推進本部あるいは総理府は、各省庁に対し何らかの指示を発出したか。発出しているのであれば、その内容を明らかにされたい。 3 障害者対策推進本部が平成5年3月22日に決定した「障害者対策に関する新長期計画―全員参加の社会づくりをめざして―」では「精神障害者、視聴覚障害者等障害を理由とする各種資格制限が障害者の社会参加を不当に阻む障害要因とならないよう、必要な見直しについて検討を行う」と述べている。また、平成7年12月18日に決定した「障害者プラン」(ノーマライゼーション7カ年戦略)では「各種資格制度等における精神障害者の欠格条項の見直しを推進する」と述べている。これらの決定があるにも拘わらず、先の調査が行われたということは、総理府障害者施策推進本部担当室では平成10年3月に至るまで各種法律等で規定されている欠格条項を正確に把握していなかったと考えてよいか。もし、そうであるとすれば、実態の把握が遅れた理由を明らかにされたい。 4「障害者プラン」において、聴覚障害者に係る欠格条項の見直しについて明確な表現を避けている理由を示されたい。 5「障害者に係る欠格条項一覧」では、60の法律等(法律が46・政令が3・府省令が8・訓令が1・規則が1・告示が1)において、79条項が把握されているが、「調査漏れの欠格条項が多数あり、法律本数で300近くある」等々の指摘がある。欠格条項の見直しに遺漏は許されないことである。各省庁に欠落の有無について確認すべきではないかと考えるが見解を示されたい。 6「障害者に係る欠格条項一覧」が作成されたのと同じ日の平成10年3月25日に開催された障害者施策推進本部幹事会議において「中央障害者施策推進協議会と連携を図りながら統一的な対処方針を策定して見直しを推進する」ことが申し合わされ、同年5月以降、中央障害者施策推進協議会において欠格条項の見直しの視点について議論が行われてきているとのことであるが、その議論の主要内容について説明されたい。また、統一的な対処方針を策定するとのことであるが、その策定の時期を示されたい。 7 統一的な対処方針の策定が各省庁の具体的な見直し作業や必要な法律等の改正時期も同じにするということを意味するものであるならば、個々の欠格条項の見直しが遅れる可能性が多分にある。見直し作業が終わったものから、順次、法律等の改正を行うべきではないかと考えるが見解を示されたい。 二 絶対的欠格事由の見直しについて 1 前文で列記した各法律等では、聴覚障害の程度が明示されておらず、かつ、その状態の改善・克服が不能という前提に立ち、障害の程度、業務遂行能力に個人差があるにも拘わらず、それを無視して安直に一般化し、また障害の状態を固定的に見ていることは極めて問題である。人工内耳や人工中耳の開発等医学の進歩により障害の状態の改善が図られる可能性がある。したがって、聴覚障害者を絶対的欠格事由とすることをやめるべきではないかと考えるが見解を示されたい。 2 検察官の不起訴処分の適否を審査する検察審査員の欠格条項について政府は、現在召集されている第145回国会(通常国会)に「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」を提出し、その中で、検察審査会法の一部改正を行い、第5条第3号の「耳の聞えない者、口のきけない者及び目の見えない者」との規定を削除している。すなわち、絶対的欠格事由としていた聴覚障害者を視覚障害者とともに削除している。今国会においてこのような措置を講じた資格はこの他にあるか。また、身体障害者を絶対的欠格事由としている欠格条項の改善に向けて具体的な検討を開始している資格はあるか。 3 道路交通法では、自動車運転免許の欠格事由を第88条で規定している。同条第1項第2号では「精神病者、精神薄弱者、てんかん病者、目が見えない者、耳が聞こえない者又は口がきけない者」に対し、第1種免許又は第2種免許を与えないとなっている。また、第96条では運転免許試験の受験資格についても定めているが、これも資格が無いとされている。こうした規定によって、聴覚障害者は運転免許の試験の受験資格を剥奪され、免許を取得できない状態が続いていた。これに対し、関係者が熱心に運動し、その成果によって現在実質的に資格取得の道が開かれている。すなわち、昭和48年に適正基準を規定する道路交通法施行規則を改正し、10メートル離れて90ホンの警音器の音が補聴器を装着して聞こえていれば合格とした。この措置を講じたことによって、聴覚障害者の多くが運転免許を取得できるようになっている。しかしながら、法律の条文は現在に至るまで改正されないままである。実情に合わせて早急に法律を改正し聴覚障害者を絶対的欠格事由としている条項を削除すべきではないか。 4 聴覚障害者は医事・薬事関係の諸資格が取得できないとされていることから、医事・薬事関係学校への進学に大きな障害となっている。例えば薬学に関しての研究・学習を志望したとしても、薬学部は国家資格取得者の養成を行っている等と称して、薬学研究志望の聴覚障害者の入学試験の受験を制限していると聞くが、政府はどのように把握しているか示されたい。もし、これが事実であるとすれば、聴覚障害者が基礎医学や基礎薬学の研究者となりたいと考えても勉学の道を閉ざされてしまっているわけである。聴覚障害者の医事・薬事関係への勉学の道の開放について見解を示されたい。また、薬剤師については、薬剤師国家試験そのものは受験が認められており、実際の聴覚障害者で合格者が出ているが薬剤師免許は与えられていない。薬剤師としての学力を認めていながらそれでもなお絶対的欠格事由とする理由を聴覚障害者に関する医学・技術的進歩の状況及び障害者の完全参加の政府目標を踏まえて示されたい。 三 間接的に聴覚障害者の社会参加を制限している諸資格等について 1 保育士の資格取得の場合、養成期間のカリキュラム・実習・国家試験において、音楽がとりわけ重視されているため、資格取得が甚だ困難で実質的に聴覚障害者は排除されてしまっていると聞いているが、政府はどのように把握しているか示されたい。もし、事実であるとすれば、改善が必要であると考えるが見解を示されたい。併せて、聴覚障害者の資格取得の状況についても明らかにされたい。 2 著作権法では、視覚障害者のために書籍や雑誌の点字の自由化が認められている一方で、聴覚障害者のために映画やテレビを録画したビデオテープに手話通訳や字幕を付けて、これを普及する自由を認めていないのはなぜか明らかにされたい。聴覚障害者が楽しみを享受し、また、情報を獲得し生活向上に利用できるよう法律改正が必要ではないかと考えるが見解を示されたい。 3
公職選挙法では、候補者の政見をそのまま放送することを規定している。平成7年の参議院選挙から手話通訳を付すことは可能となった。しかしながら、字幕放送については技術的、時間的制約が大きいことを理由として現在も認めていない。これは一部改善が見られているのの、聴覚障害者にとって立候補者の政見を知る機会がいまだに制限されていることを示している。近年の電子技術の進歩を考慮すれば技術的制約は無くなったものと見てもよいのではないか。この聴覚障害者の参政権の保障の問題については、私が平成4年12月8日に提出した「聴覚障害者対策等に関する質問主意書」でも取り上げているが、この際、改めて制限の解除について見解を示されたい。 右質問する。
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