人権の世紀へ [2002.04.28]
国会に提出されている人権擁護法案は、「人権の世紀といわれる21世紀において、現行の人権擁護制度を抜本的に改革し、独立行政委員会である人権委員会の下に、人権侵害による被害の実効的な救済と人権啓発の推進を図る」ことをその内容とします。
私は、法案は不十分な点を含んでいるものの、かろうじて及第点であると考えます。
「人権委員会」の独立性が不十分であるとの批判があります。特に、地方法務局長に人権委員会の事務を委任するのでは、独立性が確保出来ないとの懸念があります。定員の確保や予算の制約を考慮すると、地方法務局の現行のスタッフを活用することを首肯せざるを得ないとしても、課題を残しています。
報道機関による人権侵害を「特別救済」の対象とすることは、マスメディアに対する不当な制約であるの批判もあります。しかし救済の対象は、現在においても不法行為を構成する違法な人権侵害であり、法案によって報道を規制する新たなルールを設けるものではありません。犯罪被害者等の弱い立場にある者に対する一定の人権侵害については、裁判での解決に加えて、人権救済制度の中での実効的な救済を図る必要があるのではないでしょうか。もちろん報道の自由は、国民の知る権利に奉仕することを通して、国民主権原理の基礎をなしています。そこで、この問題に関してのメディア側の批判には謙虚に耳を傾け、慎重に委員会での法案審議を進める必要があると考えます。